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お役立ちコラム

飲食店の採用がうまくいかない理由|募集要項で見直したい5つのポイント

飲食店の採用がうまくいかない理由と、募集要項で見直したい5つのポイント

「求人を出しているのに応募が来ない」「面接まで進んでも辞退される」「入ってくれても数か月で辞めてしまう」。飲食店の採用について、こうしたご相談をいただくことがあります。

募集媒体を増やす、掲載プランを上げる。手を打つならまずそこ、と考えたくなりますが、その前に一度見ておきたいのがいま出している募集要項そのものです。求職者は複数の求人を並べて読み比べています。書かれていないことは「聞いてみないと分からない条件」として残り、そのまま応募をためらう理由になります。

この記事では、飲食店の募集要項で見直したい5つのポイントを、2024年4月に追加された法定の明示事項を含めて整理します。求人票を1枚手元に置きながら読んでいただくと、確認しやすいかと思います。

応募が集まらない原因は「露出」ではなく「読んだあとの判断」にあることがあります

求職者は、書かれていない項目を「不明」として扱います

採用する側から見ると、求人票は「自社を知ってもらうための入口」です。一方、求職者から見た求人票は他社と比べるための一覧表に近いものです。項目が埋まっていない求人は、良い悪い以前に比べようがなく、候補から外れていきます。

とくに飲食業は、勤務時間や休日の形が店舗によって大きく違う業種です。「シフト制」「応相談」とだけ書かれていれば、読む側は自分にとって都合の悪いほうを想像します。書かないことは、良く受け取ってもらえるわけではないという前提で見直すと、直すべき箇所が見えてきます。

募集要項の記載は、法律で義務づけられている部分があります

そもそも、募集時の労働条件の明示は法律上の義務です。職業安定法第五条の三第一項は、労働者の募集を行う者などに対して「その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。

この義務は、ハローワークへの求人申込みだけの話ではありません。厚生労働省のリーフレットも、ハローワーク等への求人の申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載を行う場合には、求人票や募集要項において労働条件を明示しなければならないとしています。また、同法第四条は「労働者の募集」を「労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること」と定義しており、媒体を限定していません。自社サイトの採用ページも、店頭に貼る募集の紙も対象になるとお考えください。

見直し① 2024年4月に追加された3つの明示事項が埋まっているか

追加されたのは「変更の範囲」と「更新の基準」

2024年4月1日に施行された改正職業安定法施行規則により、募集時などに明示すべき事項が追加されました。厚生労働省の資料では、追加分は次の3つと整理されています。

  • 従事すべき業務の変更の範囲
  • 就業場所の変更の範囲
  • 有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)

ここでいう「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換なども含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲を指すと説明されています。

あわせて、職業安定法施行規則が定める明示事項には、業務の内容、契約期間、試みの使用期間、就業の場所、始業・終業の時刻や休憩・休日、賃金の額、社会保険・労働保険の適用、労働者を雇用しようとする者の氏名または名称、受動喫煙を防止するための措置などが並びます。まずは、この一覧に対して自社の求人票で空欄になっている項目がないかを突き合わせてみてください。

飲食店では「就業場所の変更の範囲」が特に効きます

複数店舗を運営している企業ほど、ここは丁寧に書いた方がよい項目です。応募者が最も知りたいのは「採用された店舗でずっと働けるのか、他店に移る可能性があるのか」という点だからです。通勤時間が変われば生活が変わりますし、家庭の事情で動けない方もいます。

厚生労働省の記載例では、就業場所について「(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内23区内の営業所」といった書き方が示されています。飲食店であれば「(雇入れ直後)〇〇店(変更の範囲)東京都内の当社直営店」のように、どこまで動く可能性があるのかを範囲で示す形になります。

異動の予定がないのであれば、「変更なし」と書いてしまって構いません。あいまいにぼかすより、はっきり書いてある方が応募につながりやすい項目です。

見直し② 業務内容が「ホール・キッチン」で止まっていないか

1日の流れと、任される範囲まで書く

「ホールスタッフ/キッチンスタッフ」とだけ書かれた求人は多くあります。ただ、それだけでは同じ業態の他店との違いが分かりません。求職者が知りたいのは職種名ではなく、実際に何をする一日なのかという中身です。

  • 出勤してから閉店までの、おおまかな時間の流れ
  • 担当する範囲(仕込みはどこまでか、発注や締め作業に入るのか)
  • 1シフトあたりの人数と、ピーク時の体制
  • 店の規模・席数・客層・提供している料理のジャンル

この4点が書いてあるだけで、読み手は自分が働く姿を思い浮かべられます。入社後のギャップを減らし、早期離職を防ぐことにつながるという意味でも、書いておく価値があります。

未経験を採用したいなら「教える順番」を書く

「未経験歓迎」と書いてあっても、応募が増えないことがあります。歓迎されているのは分かるけれど、放り込まれて終わりではないか、という不安が消えないためです。

最初の1か月で何を覚えてもらうのか、誰が教えるのか、独り立ちまでどのくらいを見ているのか。受け入れ側の段取りが書かれている求人は、未経験の方にとって心理的なハードルが下がりやすくなります。実際に店舗で行っている流れを、そのまま短く書けば十分です。

見直し③ 労働時間と休日が「働く形」として読み取れるか

「週休2日制」と「完全週休2日制」は同じ意味では使われていません

求人広告では慣用的に、「完全週休2日制」は毎週必ず2日の休みがあること、「週休2日制」は2日休める週が月に1回以上あることを指して使い分けられています。ただし、この2つの言葉は法令で定義されているものではありません。

言葉の使い分けに頼るより、「月8日休み(シフト制)」「週2日休み・希望日を月2日まで指定可」のように、自社の休日制度を数字で書くほうが誤解が生じません。入社後に「聞いていた話と違う」となりやすいのが、まさにこの項目です。

時間外労働は「あり/なし」で終わらせない

厚生労働省の記載例では、時間外労働について「あり(月平均20時間)」という書き方が示されています。飲食業は繁忙期と閑散期の差が出やすい業種ですから、平均の目安と、繁忙期にどのくらい増えるのかまで書いてあると、読む側は判断ができます。

なお、時間外労働の実績を書くことは、決して自社に不利な情報開示ではありません。実態を正直に書いてある求人は、それだけで信頼されやすくなります。書かれていない求人と並べば、なおさらです。

見直し④ 賃金は固定残業代の内訳まで書けているか

時間外労働の有無にかかわらず一定の手当を支給する制度、いわゆる固定残業代を採用している場合、厚生労働省の資料では次のような記載が必要とされています。

  • 基本給(手当を除いた額)
  • 手当の内容(時間外労働の有無にかかわらず、何時間分の時間外手当としていくら支給するのか)
  • 何時間を超えた分の割増賃金は追加で支給すること

「月給●●万円(固定残業代含む)」とだけ書かれていると、求職者は内訳が分からないまま応募することになります。面接の場で内訳を聞いて話が変わり、そこで辞退される——というのは、避けられるはずのすれ違いです。

また、試用期間中に賃金が変わる場合は、その旨も記載が必要です。厚生労働省の記載例では「月給25万円(ただし、試用期間中は月給20万円)」という形が示されています。

見直し⑤ 受動喫煙を防止するための措置をどう書くか

飲食店は原則屋内禁煙ですが、経過措置があります

受動喫煙を防止するための措置は、募集時に明示すべき事項のひとつです。そして飲食店は、この項目の実情が店舗ごとに分かれる業種でもあります。

健康増進法の改正により、飲食店を含む施設は2020年4月1日から原則として屋内禁煙となりました。ただし、この改正法(平成30年法律第78号)の附則は、既存特定飲食提供施設について特例を設けています。既存特定飲食提供施設とは、改正法の施行日である2020年4月1日の時点で現に存していた飲食店・喫茶店などのうち、大規模会社(資本金または出資の総額が5,000万円を超える会社)などが営むものを除き、かつ客席部分の床面積が100平方メートルを超えないものを指します。これに当たる店舗は、標識の掲示などの要件を満たしたうえで喫煙可能室を設けることができます。2020年4月2日以降に開業した店舗はこの特例の対象になりませんので、その点も含めて確認してください。

この特例が終わる時期は「別に法律で定める日まで」とされており、現時点では期限が決まっていません。自店がどちらに当たるのかを確認したうえで、求人票には実態をそのまま書くのが確実です。「屋内禁煙」「喫煙可能室あり」など、応募者が現場の状況を想像できる書き方をおすすめします。

20歳未満のスタッフは、喫煙可能室に立ち入らせられません

健康増進法第三十三条第五項は、施設の管理権原者等について「二十歳未満の者を当該喫煙専用室設置施設等の喫煙専用室に立ち入らせてはならない」と定めています。既存特定飲食提供施設の喫煙可能室についても、附則の読替えにより同じ扱いになります。

ここでいう立入りには、業務で入ることも含まれます。厚生労働省の受動喫煙対策の特設サイトも、20歳未満の方は従業員であっても喫煙エリアに立ち入ることができない、としています。つまり、喫煙可能室のある店舗で高校生や10代のアルバイトを採用する場合、その区画のオーダー取りや片づけを任せることはできません。募集の段階で担当できる範囲を整理しておかないと、採用後にシフトが組めないという事態になります。

なお、制度の内容は改正により変わることがあります。最新の要件や自店の取り扱いについては、都道府県・保健所など実施機関の公表情報をご確認ください。

募集要項を整えても、埋まらない部分があります

ここまでの5点は、書き方を直せば今日からでも改善できる部分です。一方で、求人票をどれだけ丁寧に整えても届かない層がいます。いま転職サイトを見ていない人たちです。在職中で忙しい方、次を考えてはいるがまだ具体的に動いていない方は、募集を出しても出会えません。

また、書類選考や日程調整に手が回らず、応募をいただいてから連絡が遅れてしまう、という声もよく伺います。飲食店の場合、採用の担当が店長や本部の少人数と兼務になっていることが多く、営業しながら選考を回すのは負担の大きい仕事です。

株式会社ウーヴルコンサルティングでは、人材紹介と採用代行(RPO)の2つで採用のご支援をしています。人材紹介では、求める人物像・勤務条件をお伺いしたうえで募集を行い、条件に合う候補者をご紹介します。採用代行では、募集対応から応募受付、書類選考、選考、採用通知まで、ご要望に応じて代行します。2012年から複数の企業さまの採用を請け負ってきました。

飲食分野を担当するのは、外食企業や飲食店で働いた経験を持つ担当、飲食店のコンサルティング経験者、調理師学校で学んだ担当です。現場の忙しさを分かったうえで、求人票の書き方から一緒に整理することもできます。

まずは、いま出している求人票を1枚見直すところから

採用がうまくいかないとき、原因が募集の量にあるのか、要項の中身にあるのか、選考のスピードにあるのかは、切り分けてみないと分かりません。この記事の5点は、そのうちすぐ手を入れられる部分を並べたものです。

働く側が何を見て応募を決めているかについては、求職者向けに書いた飲食店の店長がきついと感じたらもあわせてご覧いただくと、募集要項に何を書くべきかのヒントになるかもしれません。

採用のご相談は、採用をお考えの企業さまへのページに、ご依頼から採用までの流れとサービスの内容をまとめています。飲食分野の体制については飲食専門 人材紹介事業をご覧ください。「まだ依頼を決めていないが、求人票を見てほしい」という段階でも構いません。お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

出典:e-Gov法令検索「職業安定法」(第四条・第五条の三)、e-Gov法令検索「職業安定法施行規則」(第四条の二)、厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(2024年4月1日施行 改正職業安定法施行規則・PDF)、e-Gov法令検索「健康増進法」(第三十三条・平成三十年法律第七十八号附則第一条/第二条)、厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。」(事業者のみなさまへ)。いずれも2026年9月3日確認。条文は要約せず引用し、そのほかの説明は執筆時点の公開情報をもとに整理したものです。

よくあるご質問

自社のホームページで募集する場合も、労働条件の明示は必要ですか?
必要です。職業安定法第五条の三第一項は、労働者の募集を行う者などに対し、募集に応じて労働者になろうとする者に「その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定めています。厚生労働省のリーフレットも、ハローワーク等への求人の申込み、自社ホームページでの募集、求人広告の掲載を行う場合には、求人票や募集要項において労働条件を明示しなければならないとしています。なお、求人広告のスペースが足りない等やむを得ない場合には「詳細は面談時にお伝えします」などと付したうえで一部を別のタイミングで明示することもできますが、その場合も原則として、面接などで求職者と最初に接触する時点までに全ての労働条件を明示する必要があるとされています。
就業場所の「変更の範囲」には何を書けばよいですか?
「変更の範囲」とは、雇入れ直後にとどまらず、将来の配置転換など今後の見込みも含めた、締結する労働契約の期間中における変更の範囲を指すと説明されています。厚生労働省の記載例では、就業場所について「(雇入れ直後)渋谷営業所(変更の範囲)都内23区内の営業所」といった書き方が示されています。複数店舗を運営している場合は、どの範囲まで異動の可能性があるのかを示す形になります。異動の予定がなければ「変更なし」と記載して構いません。
喫煙可能室のある店舗で、20歳未満のアルバイトを採用できますか?
採用そのものができないわけではありませんが、担当できる範囲に制限がかかります。健康増進法第三十三条第五項は「二十歳未満の者を当該喫煙専用室設置施設等の喫煙専用室に立ち入らせてはならない」と定めており、既存特定飲食提供施設の喫煙可能室についても附則の読替えにより同じ扱いになります。この立入りには業務で入ることも含まれるため、喫煙可能な区画のオーダー取りや片づけを任せることはできません。募集の段階でシフトと担当範囲を整理しておくことをおすすめします。制度は改正により変わることがありますので、最新の要件は都道府県・保健所など実施機関の公表情報をご確認ください。
求人票の書き方から相談することもできますか?
はい。株式会社ウーヴルコンサルティングでは、人材紹介と採用代行(RPO)の2つで採用のご支援をしています。求める人物像や勤務条件をお伺いするところから始めますので、募集要項の整理を含めてご相談いただけます。まだご依頼を決めていない段階のお問い合わせでも構いません。
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