介護職は未経験・無資格から始められる?資格を取る順番と働きながらの進め方
「介護の仕事に興味はあるけれど、資格を持っていない」「未経験から入って続けられるだろうか」。そんな段階でご相談をいただくことがよくあります。
介護の分野は、人材の確保が長く課題になっています。厚生労働省は、第9期介護保険事業計画に基づく推計として、2040年度までに新たに約57万人の介護職員が必要という見通しを示しています。未経験・無資格からの入口が広く用意されているのは、こうした背景があるためです。
この記事では、無資格の状態から介護職を始めるときに知っておきたい「働ける仕事の範囲」「資格を取る順番」「働きながら取る方法」を、制度の根拠を確認しながら整理します。今すぐ転職を決めていなくても構いません。まずは全体像をつかんでいただければと思います。
介護職は、未経験・無資格でも始められます
結論からお伝えすると、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどの施設・通所系のサービスでは、資格がない状態から介護職員として働き始められる職場が多くあります。実際に「入職してから資格を取った」という方は少なくありません。ただし募集の要件は事業所によって異なりますので、実際の求人でご確認ください。
ただし「訪問介護」は入口の条件が違います
利用者さんのご自宅にうかがう訪問介護(ホームヘルパー)は、扱いが異なります。介護保険法第8条第2項は、訪問介護を「介護福祉士その他政令で定める者」が行うものと定めています。そして、その政令にあたる介護保険法施行令第3条が、都道府県知事が行う介護員の養成に関する研修(または都道府県知事の指定を受けた事業者が行う介護員養成研修)の課程を修了し、修了した旨の証明書の交付を受けた人を挙げています。
この「介護員養成研修」にあたるのが、次章でご説明する介護職員初任者研修です。つまり、
- 施設・通所系で働きながら経験を積む → 無資格でもスタートできる
- 訪問介護から始めたい → 先に初任者研修などの修了が必要
という違いがあります。「介護=すべて資格が必要」でも「介護=すべて無資格で可能」でもない、という点が最初のポイントです。
入職後に受ける「認知症介護基礎研修」
無資格で介護職に就いた場合、入職後に受けることになる研修があります。令和3年度の介護報酬改定で、介護サービス事業者に対して、介護に直接携わる職員のうち医療・福祉関係の資格を持たない人に認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることが義務づけられました。この義務づけには3年の経過措置期間が設けられていましたが、その期間はすでに終了しています。あわせて、新入職員の受講については1年の猶予期間が設けられています。
言い換えると、入職の時点で無資格であること自体は問題にならず、働き始めてから受講する形が想定されているということです。受講方法や費用の負担については職場によって扱いが異なりますので、応募の段階で確認しておくと安心です。
資格は「順番」で考えるとわかりやすい
介護の資格は種類が多く、最初は迷いやすいところです。未経験から目指す場合は、次の順番で考えると整理しやすくなります。
① 介護職員初任者研修
入口にあたる研修です。前述のとおり、これを修了していると訪問介護にも従事できるようになります。働きながら通う方が多く、スクールによって通学と通信を組み合わせた形が用意されています。
② 介護福祉士実務者研修
初任者研修より内容が広く、医療的ケアの基礎も含まれます。介護福祉士の国家試験を実務経験ルートで受験する場合、この実務者研修の修了が要件になっています(介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了している場合など、別の扱いもあります)。初任者研修を修了してから進む方が多く、受講の負担を分けられます。免除の有無や範囲は研修の実施機関によって扱いが異なりますので、申し込み前にご確認ください。
③ 介護福祉士(国家資格)
介護分野の国家資格です。働きながら目指す場合は「実務経験ルート」が中心になります。実務経験ルートは「介護等の業務に3年以上従事した方」が対象で、これに実務者研修の修了が加わります。ここでいう実務経験には「従業期間」と「従事日数」の2つの要件があり、社会福祉振興・試験センターの説明では「従業期間・従事日数の要件は、両方とも満たす必要があります」「従業期間・従事日数は試験実施年度の3月31日まで通算することができます」とされています。必要な日数の詳細は実施機関の公表情報でご確認ください。なお、複数の事業所で働いた期間も、証明書をそろえれば合算できます。
なお、介護福祉士国家試験には近年大きな変更がありました。厚生労働省は、受験しやすい仕組みとして「パート合格(合格パートの受験免除)」を導入し、令和8年1月25日に実施された第38回試験から、試験科目がA・B・Cの3つのパートに分けられています。一度にすべてを合格しなくても段階的に積み上げられる形になったため、働きながら受験する方には取り組みやすくなったといえます。
制度は改正により変わることがあります。最新の要件や免除の詳細は、都道府県・実施機関の公表情報をご確認ください。
働きながら資格を取るための現実的な進め方
職場の支援制度を確認する
介護の職場では、資格取得の費用を補助したり、研修の日程に合わせてシフトを調整したりする仕組みを設けているところがあります。内容は事業所ごとに異なりますので、求人票の記載だけで判断せず、面接の場で確認しておきたい点です。聞きづらいと感じる場合は、私たちが代わりにおたずねすることもできます。
求人を見るときのチェックポイント
- 「無資格可」「未経験可」の表記があるか(施設系か訪問系かもあわせて確認)
- 資格取得の支援制度の有無と条件(費用負担、勤務扱いになるかなど)
- 夜勤の有無と回数(研修と両立できるか)
- 入職後の教育体制(先輩と組んで動く期間があるか)
給与や手当は事業所・地域・時期によって幅がありますので、「いくらもらえるか」を先に決めつけず、条件をそろえて比べることをおすすめします。
いきなり転職しなくてもいい
資格を取ってから応募するのか、働きながら取るのか。順序に正解はありません。ご家庭の事情や今の勤務先の状況によっても変わります。まずは「自分の場合はどちらが無理がないか」を整理するところから始めていただければ十分です。
迷っている段階でのご相談も歓迎しています
株式会社ウーヴルコンサルティングでは、介護関係でお仕事をお探しの方へのページのとおり、介護の分野で働きたい方のご相談を承っています。事業所の内情まで把握したうえでご紹介し、聞きづらい条件面は私たちが代理でおたずねします。2012年からリモートでの相談体制を整えているため、全国どちらからでもご利用いただけます。
「まだ転職すると決めたわけではない」という段階でのご相談については、転職を迷っている段階で相談してもいい?エージェントの使いどきと流れでくわしくご説明しています。ご相談から入職後までの流れは転職サポートの流れをご覧ください。医療・介護分野の人材紹介については医療・介護 人材紹介事業のページでもご説明しています。
出典:厚生労働省ホームページ「介護福祉士国家試験におけるパート合格(合格パートの受験免除)の導入について」(厚生労働省ホームページ)、同「第38回介護福祉士国家試験の施行について」(令和7年7月4日公表・厚生労働省ホームページ)、同「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」(厚生労働省ホームページ)、同「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(厚生労働省ホームページ)、公益財団法人社会福祉振興・試験センター「受験資格:実務経験+実務者研修」(社会福祉振興・試験センターホームページ)、介護保険法施行令第3条(e-Gov法令検索)。本記事では、これらの内容を要約・編集して紹介しています。


